透明で無害な煙草、倍速で行われる会話、無目的的な快速電車/robart
ランクフルトでは見たことがない、と言われた。実に眉唾物の話だ。いつか僕はフランクフルトでタッチ式の自動扉の前で牛丼を食ってやろうと思う。Aufwiedersehen!二度と会うことはないだろうけれど。
「頭の中で早送りみたいになってるんですか?」
「いや、そんなことはないけど。」僕はやっぱり答えてしまう。頭を上げると、立っていたのは店員だった。不自然に光る黒髪が目についた。バイトのために染め直したのだろうか。ポニーテールで、肩甲骨にかかるくらいの長さだった。整えられた眉、長いまつげ、奇麗なラインをした二重の目。肌は健康的でつやもよく、チークなどなくても頬はピンクがかっている。
「バイト中
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