透明で無害な煙草、倍速で行われる会話、無目的的な快速電車/robart
ト中?」僕は本を閉じてテーブルに置いた。
「うん。でも、気になって。私の倍くらいの速さで読んでいたから、そしたら、本の中の人たちも倍のスピードで喋ったり歩いたりするのかなって。」店員は悪びれず答え、僕が無視せず会話したことを喜んでか、少しだけ笑った。笑顔はまだ子供のようだった。いや、むしろ高校生なのかもしれない。それもかなり変わった高校生。多分当たっているだろう。なぜなら、僕はどちらかというと女性に話しかけられることが多く、たいていの場合、その女性は変わったやつだからだ。
「バイト中に客と喋ってて怒られないの?」
「ばれないように喋ってる。」
「じゃあ、あそこで君をにらんでるのは誰?」
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