透明で無害な煙草、倍速で行われる会話、無目的的な快速電車/robart
 
?」
「多分、店長。」
「怒られる?」
「多分。」
会話はそこで途絶えた。

 店長である中年の男性が僕に何度も謝った。僕は、別に謝ることはないし、彼女をあまり叱らないであげてほしいと言い、そのままコーヒー代を支払い店を出た。店内の冷房になれたせいで、外は蒸し暑く感じられた。ヒグラシの鳴く声がした。夕日が高層ビルに反射していた。時間がゆっくり流れているように感じられた。細い細い街路樹が揺れ、夕飯の材料のつまったバッグを自転車のかごにのせた女性が横切った。風はじっとりとしていた。駅のプラットフォームに立っていると、アナウンスが流れ、列車が駅に近づく音が聞こえ、軋みや、風や、機械音がして時
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