兄のマル/喫煙変拍子
の所為だった
僕はいつものようにそれを啜るしかなかった
“マルができた”
僕らの庭は、無理なくキャッチボールができる程度の広さを持っていた、はずだった
しかし今は、得たいの知れないベニヤ板の物体に圧迫され、とても窮屈そうだった
“入ってみれ”
僕は言われるままに身を縮めてマルに入った
(中は電飾が施してあった。電飾といっても小豆程度の電球を無造作にぶら下げているにすぎない。ほんの数秒間足を進めるともう本物の光が見えてくる)
“もう1回”
マルを出ると兄は笑っていた
汚い歯を見せながら人差し指を突き立てて兄は笑っていた
言われるが
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