幸福の食卓 ー同級生との再会ー /服部 剛
 
元旦の夜のファミリレストランで 
僕が座るテーブルの、一つ向こうに 
少年時代の、友がいた。 

嫁さんと、子供ふたりと、母さんと 

父さんは、20年前の冬の朝 
突然に、心臓が停まった。 

(それから母さんは長い間、貝になった) 

葬式の数日後、朝も早い 
窓から白い日の射す教室で 
久しぶりに登校した彼を見て 
あの日の僕は思わず大声で、名前を呼んだ 

元旦のファミリーレストランで 
あまりに久しぶりの再会に 
何だか恥ずかしかったので 
いつ声をかけるか思案したが

ドリンクバーへと彼が立ち 
(ようし今だ)と僕も立ち 
彼の肩を軽く叩く
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