幸福の食卓 ー同級生との再会ー /
服部 剛
叩く
「おぉ!よくわかったじゃん」
「いい家庭持って、親孝行してるじゃん」
それだけの言葉を交わし
それぞれの席に戻り
僕は少しぎこちなく、本を開いた。
ふたりの子供と友達みたいに
じゃれあう
息子と、嫁を眺める
母さんの顔にはもう
20年前の涙は、消えていた。
すっかり父親になって
あの頃よりも太ったが
帰り際に振り返り
じゃあね、と手をあげる
仕草も声も
あの日の、彼のままだった。
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