365分の1としてのクリスマス、あるいは本のカバーについて/robart
 
とがあった。それでも僕はまるっきり関心がなかった。彼の声は雑音と大差なかった。それはただのノイズだった。ノイズ。ノイズ。ノイズ。それはテレビの砂嵐や隣人のカップルの痴話げんかと相似形をなしていた。
大学に入ってから、受験シーズンの抑圧からの反動で僕はたくさんの音楽や本や映画を聴いたり読んだり観たりするようになった。爆発的な量だった。宇宙が始まったみたいに僕はCDを聴きあさり、ブラックホールのようにあらゆる種類の本を読みふけった。大学二年の冬に僕は中古CDショップでボブ・ディランを手に入れた。Desireというアルバムだった。たまたま目についたので拾い上げてみるとボブ・ディランだったのだ。しかも1
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