【140字小説】美少年他/三州生桑
 


【美少年】
美少年は菫色の瞳で私を見上げる。「日曜、すっぽかしちゃって御免なさい。怒ってる?」「いや」ゆっくり腕を絡ませてくる。「常連のお客さんとホテルに行って…しつこくって」少年からプレゼントされたネックレスが、じわりと首を締めつける。「ねえ、怒った?」明らかに彼は私に殺されたがってゐた。


【ロボット】
ロボットは、ぎこちない手つきでコップをつかんだ。「慎重にな」博士が言ひ終はらぬうちにコップは粉々になってしまった。「ああ! 莫大な研究費をかけ、科学技術の粋を集めて作られたロボットが、コップを持つことすらできないとは!」ロボットはため息をついて言ふ。「歯医者さんのコップにし
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