ガーベラさん/瀬崎 虎彦
、失礼のないように私は言い添えた。そうか、こんなに若い先生がいて(ガーベラさんは若く見えた)、しかも学生なんだと驚いた。大学というのは不思議なところだなあ。
「いつもうちの花をご利用いただいてありがとうございます」と、思い出したようにかしこまった挨拶をした。その瞬間、ガーベラさんがなぜ花を持って大学へ行くのかという疑問が沸く。
だれのために?
何の目的で?
毎週、同じ花束を?
ふふふ、とガーベラさんが笑ってふと我に返る。きっと困惑が顔に出ていたのだろう。
「腑に落ちないという顔をしていますね」ガーベラさんが言った。
ああ、いえ、そんな、と答えるけれど、腑に落ちないという顔を
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