ガーベラさん/瀬崎 虎彦
 
はフラワーアレンジメントの専門学校に通っていた頃に、そこで知り合った女性のお父さんが経営する、都内にいくつか支店を持つ花屋さんで働いている。手が荒れたり、生花の管理が大変な仕事だけれど、子供の頃から花が好きだから天職だと思っている。パチンというハサミの音に、飽くことなく魅了される。


 ある月曜日、わたしは配達を言いつかる。花ばかりではなくて、大きな鉢の観葉植物などを搬入することもある。そういう仕事は普段アルバイトの男の子がワゴン車に乗って配達に行くのだけれど、その日彼が休んでいたので代わりにわたしが行くことになった。大きなものの搬入は台車を使えばよいので、どうしても男でなければ出来な
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