ガーベラさん/瀬崎 虎彦
 
、自分の授業を興味深く聞いてくれる観衆がいるような錯覚をしました。それはそうですよね。授業に花束、先生はどうして花を持って教室に来たんだろう。不思議な緊張感があった。僕は自分の話を聞いてくれているように感じて、普段より随分良い授業が出来た。
 その日以来です。僕が花束を持って授業に行くことにしたのは。


 ガーベラさんは授業が終わると、その花束をどうしていたのか。
 彼のように、その大学の正式な先生ではないけれど、週に一度教えに来ている先生たちの待合室のようなものがあるらしい。その部屋に飾って帰ったそうだ。
 授業中、花束はどのように置かれていたのか。
 はじめはそのまま教卓に
[次のページ]
戻る   Point(7)