ガーベラさん/瀬崎 虎彦
 
る大学で年度の終わりなどに学生さんらしいお客さんが、何人か連れ添っては大きな花束を頼んで買っていく。その子たちは若くて、楽しそうで、花束を買うのは初めてという雰囲気が出ている。
 上手に花束を注文するには、花の良し悪しを見定める目も必要だけれど、おおくの場合、色や予算、大きさとイメージを伝えるお客さんが多い。バラやスプレーマムのように特に入れてほしい花があればそれも伝えておく。だから、時折的確な指示をして花束を頼んでいくお客さんがあると、「ああ、花束を贈りなれているな」と思うし、印象にも残りやすい。
 ガーベラさんはいつもパリッとした身なりで、夏でもきちんとネクタイをしていた。
 わたしはフ
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