生きていることを問い直させてくれる美術展 医学と芸術展@森美術館/イダヅカマコト
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今回の展示で驚かされたのは自分自身が遺伝子関連の技術、特にクローンを取り扱ったアートに心を動かされなかったことでした。クラゲの遺伝子を組み込まれて光るようになったウサギやネズミもかわいいとしか思えませんでした。
クローンに対する反応するのは多分に宗教的なものがあるのだろうかと思うのですが、クローンを取り扱った芸術作品ではカズオ・イシグロの小説『わたしを離さないで』に勝るものはないように思われました。
イシグロの小説では臓器目的に作られ、本人もそのことを知っているクローン人間の成長を題材に生命や人間関係の有り方が強く語られています。
小説という劇や詩と独立して近代に作られ
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