12月のボーイズラブ特集 副題:知と愛の接触/済谷川蛍
しは寂しいだけなのだ……。しかしその寂しさ、そしてその種の人間がもつ知的さに惚れたと少年が告白したとしたらどうだろう?
答えは意外にも恐怖である。そう、わたしの第一印象は恐れであった。
わたしは人に好きになられるのが怖くてならない。手紙の文字を追いながら、少年の中に生まれたリアルな恋心に対して非常な恐怖を覚えた。いや、恐怖というのは言いすぎかもしれない。というのも彼の文章は知性に偏っているが、決して硬質でも陰々としたものでもなく、彼の生まれ持った清冽さ、愛らしさが伝わってくる健気なものだったからだ。英語に似た文字の優麗さは、彼の気品を存分に表しており、わたしの不安を幾分か和ら
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