12月のボーイズラブ特集 副題:知と愛の接触/済谷川蛍
 
り説得力を与えるためである。何度も読み返して彼の輪郭や人物像を想像し、その愛らしさと賢さ、繊細さ、優しさ、健全さ、初々しさ、文字の美しさ、貴さを感じるたびに、なんともいえない嬉しさがこみあげてきて、自分にはもったいないというストイックな感情と敬遠が知と愛の接触を拒もうとするのである。この文学的な危うさにわたしは酔っているのかもしれない。しかし、わたしは「貴方のことが好きです。」だなんて、生まれて一度も言われたことがない。 
 彼の容姿を思い出す。メガネ属性の美少年ということになろうか。小柄で、色白で、銀縁メガネをかけていて、手紙にも書いてあるようにミッション系の高校へ通っており、その高校は県内
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