世を去り逝く詩友への手紙 〜追悼・川村透さん〜 /服部 剛
 
構内で、次の場所に向かって改札を抜けてゆく僕を、いつまでも見送ってくれていた大柄の川村さんが小さく見えたあの場面を、僕は生涯忘れないだろう・・・あの時がまさか、最初で最後の別れの場面になるとは思いもしなかったのである・・・ 

 今の気持を語るならば・・上手くは言えないが、偽善のように僕が泣くのでもなく・・・詩を通じて出逢った者の一人として、決して無関係な事とは思えず・・・志半ばで、病を持つ幼い娘さんを気にかけながら、宇宙へ還ってゆくであろう詩人の魂が詩の暗闇を越えて、いつも娘さんを見守る風になりますように・・・と祈るのみである・・・そして、詩を愛する私達は、それぞれの言葉を詩(うた)い
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