口髭で人はノロけられるのか/robart
なのだ。
女の一生はファンキーさで決まるぞ。
「GRAPEVINEはかっこいいよ。」
「食べ過ぎで脂肪のかたまりにならないようにね。」
不満げに口を膨らませて彼女は「はい」と返事をした。それは僕にエサを食べきれないほど口に含んだハムスターを思わせる。
突然彼女が「あー!」と言った。やっと僕がモーパッサンの『脂肪のかたまり』のことを言っているのだと気づいたようだ。
「『口髭』読んでみて、面白かったら口髭生やしてよ。」
「意味が分からない。」
「『口髭』を読んで、面白かったら口髭生やす。面白くなかったら生やさない。」
「夏が終わったら、考えておく。」僕はあきらめて髪をかきあげ
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