どこかにあるかもしれないもうひとつ別の7月4日/robart
 
ざまに二回鳴り、スーツケースのロックが解除された。男はスーツケースを開き、中にあるものを順に取り出し、テーブルへ並べていった。スーツケースの中には、大小さまざまな石があった。大きいものは10センチほどで、小さいものは数ミリほどのサイズで、透明な小瓶の中にいれられていた。瓶にはコルクで栓がされてあった。剥き出しの石が5つと、小瓶が3つあった。石はどれも表面はつるつるしていて、鈍い光沢があった。

石(と小瓶)を並べ終えると、男は一礼し部屋を出て行った。
博士はまだ外を眺めていた。太陽はゆっくりと山際へ沈んでいて、空は高いところから地表近くへと群青から赤へのグラデーションをつくりだしていた。西日
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