【超短編小説】走る僕の足/なかがわひろか
通った通学路のように僕の足は躊躇することはなかった。もう止めることはできないことはよく分かった。そして僕は体の辛さを紛らわせるために、まったく関係のないことを考えようとした。
ここに来る前(ここがある場所であると仮定した場合のことだ)、僕は歌舞伎町の風俗街を歩いていた。朝から無性に女を抱きたいと思って、耐え切れずに繰り出した。風俗に行くのは初めてのことだった。性欲を一人で処理することもできた。しかしその日の僕の性欲は一つの意志を持った堅固な柱のように僕の中にそそり立った。僕はどうしても女の顔に僕の精液を撒き散らすことしか考えることができなかった。たくさんの匿名性を帯びた人々の間を、強大な性欲を
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