たくさんの語り手が世界の大切さを教えてくれる詩集 覚和歌子『海のような大人になる』/イダヅカマコト
 
ことにしたから
もう そのことを恥じるのはやめたのです
ぼくを かばわないでください
ぼくを 見ていてください}

「誰かの助けなしに暮らしていくことが/とうてい できない自分を/自分で許してあげること」で、新しい世界への通路を開く少年の姿。
健常な人こそが持っていたいイメージを、ハンディを持った少年が語ることで、この詩はとても印象深くなっています。


『世界は音』という詩では、耳という音をうけとる部分の不思議さが語られます。

閉じない、語らない、記憶しない。ただひらいて音を受け取るだけの耳がじつは「ただそこにあることで 過不足なく足りてい」て、

{引用=やわらかな
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