たくさんの語り手が世界の大切さを教えてくれる詩集 覚和歌子『海のような大人になる』/イダヅカマコト
 
かな鼓膜は 使いこまれた管楽器
いつも中心がどこかをつきとめる
こまかくふるえながら 自分しか出せない音が調律されていく
許しながら 受け入れながら
耳は世界に向けて 放射する
すべてを吸いこむかたちは
そのまま 遠いかなたへ向けてほどかれるかたち}

と語られるとき、耳は本当にうつくしくなります。


収録されている詩は43編。
彼女の簡単な言葉で見えやすく語られたイメージを思い浮かべると、今自分が触れているもののひとつひとつがとても大切に思えてきます。

少年少女むけに描かれたということになっていますが、大人が読んでも考えさせてくれる詩集です。


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