たくさんの語り手が世界の大切さを教えてくれる詩集 覚和歌子『海のような大人になる』/イダヅカマコト
ド
終わりの前の 月星は
遠く吠える
犬の声も 連れてく
早く早く
お帰りと
闇が線路に伸びる
きっときっと
あしたは
また必ず来ると
知ってても
忘れられた 自転車
夜の永遠に
半分溶けた
今日一日を 抱えたら
明かりの点く家は
もうすぐそこ
やっと
ただいま}
この詩を語っている人はどんな人でしょう。
子供でしょうか。大人でしょうか。
男性でしょうか、女性でしょうか。
男の子が遊び終えて帰るころかもしれません。
一人暮らしの女性が仕事を終えて帰るところかもしれません。
いずれにしろ、私には一人でいる時間をきちんと知
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