媚びる女/ふくだわらまんじゅうろう
女はあっさりと私を捨てるのだろうか
その答えは風に吹かれている
いや
すべての答えは風に吹かれている
吹かれているというか
風吹きすさぶ丘の上
君の眺める遠浅の海岸
潮風のひとかけらが君の頬を斬ったとすると
むしろそこには君も含めた男どもすべての救いがあると
言えるのかもしれない
「あんた正真正銘の馬鹿ね
救いようがないわね」
そうさ、だからこの煩悩の現実に
拘泥の泥沼に
おまえという女に溺れているのだよ
溺れて、そして
しあわせでいるのだよ
おまえの胸深くこの顔をうずめて
窒息してさえしまいたいのだよ
もう一回
もう一回と極楽への
{ルビ階
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