媚びる女/ふくだわらまんじゅうろう
 
ビ階=きざはし}を数えて生きるのだよ。生きて
いるのだよ
だからおまえにどんな言われようでも
どんな
巷の
噂のどぶであろうとも
そんなことはおかまいなしに
おまえを愛しているのだよ
おまえのその歌声が
俺の喉笛を愛撫するのか
それとも他の
誰かの内股の
何某かを撫で擦(さす)るのか。そんな
そんなことはどうでもおかまいなしに
おまえを
愛して
愛しているのだよ

風に吹かれて
そして
寒いよ

そんなおまえの媚びるような歌声が
俺の血管から
俺の骨髄の真髄から
俺の無意識の阿頼耶識の五月雨の
つまりはおまえの胎内の
線香花火の


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