「冬の肌」(3/3)/月乃助
 
 
 その髪のすぐ下、右の肩に小さな木の葉のような痣があった。
 重は、その痣を見ながら、自分にも葉の形の痣が腿にあったのを思い出し、ほんの一時同じ家系か、一族かそんな血を持つ娘を目にしているような気がしてなおさらそのネイティブの娘のことが近しく感じられ好きになった。
 ふと、知らずにこの娘に会うためにわざわざ海を渡らされたのなら、やっとその目的が今成就させられたのだろうと、二人の知る由もない縁(えにし)か宿縁のようなものまで思い巡らせていた。
 重の育った村の鎮守の森には、姫命が奉られているという小さな祠が、空も隠すほどの密な杉森の中、清々と飛沫を上げる滝のすぐ横に祭られていた。重
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