「冬の肌」(2/3)/月乃助
様に質素なもの。剥げた引き出しが半分ほど飛び出したドレッサーの上の、蝋燭がぼんやりと薄い影を投げ二人を迎えていた。窓の外には、月の明かりが港へ続く川か細長い入り江か、大きく蛇の腹のように曲がって見えた。
娘は何も言わずに胸のホックを外して白いレースの縁取りの、くたびれたドレスを脱ぎ始める。
若い娘の背を向けドレスを脱ぐ仕草に、すぐに若さの溢れる体がその下に現れた時には、重も少しばかり性急なほどカッと欲情を湧き上がらせた。男心を引き付けるそんな天性があるのか、野趣な娘の若い体からそれが溢れ出てくるようだった。
海の上では、決して見ることも触ることもできない女の肌が、すぐ目の前にわずかばか
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