シンスキーの世界、その後/テシノ
いて、その中から一匹、蛹の状態のものをくれた。
飼育方法を尋ねると、外来種なのでとにかく逃がさないでくれ、とだけ言い渡された。
多分それは飼育方法ではないよなぁと思いつつ、私はそれを連れて帰った。
私は生き物が好きだが、毛の生えた生き物しか飼った事がない。
毛の生えた生き物は、飼い主を認識したり名前を覚えたりと、意思疎通がはかれる。
だがそれが虫となると、そういったものが一切ない。
飼うというより、生きる環境を調えているといった感がある。
ものすごく大袈裟な表現をすれば、虫カゴが小さな地球となるのだ。
奴の世界、餌や土や温度や湿度や明るさや風通し、そういったものの全てが私の決断
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