「波の声をきいて」(13)/月乃助
は、Hiromiと一緒にまた小さな島に暮らすそんな二人を思ってみた。そこには、群れなすアザラシ達が、昼のまどろみに磯の岩の上で寝転び、その横でSayoとHiromiが座っている。そんな光景だった。
赤い屋根の家は、今どうなっているのだろう。誰か別な人が借りているのだろうか。
「ほら、お行き」
海岸の岩の上にカバンを置き、Hiromiがジッパーを開けるとすぐにPenneはそこから這い出して、頭を上げると潮の香りを初めに、次に、目の前の波の飛沫を確かめているようだった。それでも、カバンから出てもHiromiの足元を離れようとしなかった。Hiromiは、
「ほら、もう行けって、それと、今度は
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