出来れば。ロマンチシズムに溺れた妄想の果てに。/鈴木陽一レモン
塀の上を歩いてみたり
「こんぼう」で二十五分間、殴り合ったりする話
二人は、それぞれ別々な場所で
中空を見つめて、ぶつぶつ言ってたりする
それは誰に話しかけてる訳でもなく、むにむに
また、自分に問いかけるという風でもなく、ごにょごにょ
ひらたくいえば「ひとりごと」なのだけれど。
中空を見つめる瞳は焦点が合わず、涎を垂らしながら
ひとり、むにむに言ってる姿は、もし誰かがそばを通りかかれば
ひっ! ひいいぃぃい… ってなって、通報するかんじ。
でも、二人にしてみれば、なんてことない日常なので
どうぞ、どうぞ、ごしんぱいなく。げんきで、やってます。
「あのね、あたしの
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