「波の声をきいて」(11)/月乃助
、知らない人間がやってきていても、何か安心しきったペットのような姿で、本当にこの部屋になついてしまったらどうするつもりなのだろう。
「でも、この部屋の臭い、すごいよ。あなた達、大丈夫なの」
「そう、そんなに?なんか、なれちゃっているのかしらね」
それは、アザラシの臭いもそうだろうが、Penneの食べ残した魚を捨てたゴミの異臭もあっただろう。
Penneのサポーターが取れたのだから、もう、海に返すべきなのに、娘のHiromiは、何かPenneと離れるのが嫌なのか、まだ、可哀そうだとそんな理由でアザラシを海に連れて行くのに反対していた。
セーラは、アザラシを見ながら飲んでいたビールが空
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