夢国記/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
いくだけ方で、しかも早口だったので、日本語ではないものを聞かされているような気分になったが、それでもおぼろげながら内容がわかるので、そこが難儀だった。付き合っているらしい者とのケンカのようで、自分の都合を最大限押し出す、自我肥大まるだしの下品なものだったから、家へ帰り疲れを癒そうという身にはまったくたまらなかった。それでも、歩きながら口に力を入れて耐えているうちに、踏み切りに着いた。遮断機は予定調和のように降りていたが、規則的に鳴る警報が怪物の叫び声を消してくれるので、少し安堵感を覚えた。逃げるように警報に集中した。
 こんな事を思い出した。

 一年ほど前にここで人身事故があった。たまたま
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