濁流/within
病室で、消灯になるまで、むさぼるように読んだ。
そんな祖父母の家に行くのは、とても楽しみで、いくとご馳走で迎えてくれ、祖母は「おじいちゃんには内緒やで」と小遣いを握らせてくれた。決して怒ることのない優しい祖母を裏切るようなことはできないと思っていたが、どうだったのだろうと今になって思う。
また祖母は、こっそりとまだ小学生だった僕に、体にいいからと皆に知れぬよう赤玉ワインを飲ませてくれた。まだ酒の味などわからない僕は、少し大人の世界を覗き見てるようで興奮し、決して美味しくはない酒を度々せがんだ。酔いの心地よさを知らぬ子供は、自分の体が妙に熱を持ち、気だるさを覚えたのだが、これはきっと血の巡り
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