「波の声をきいて」(9)/月乃助
に戻れると思うけど」
「でも、あなたアザラシの飼い方知っているの?」
「飼ったことはないけど…、娘はアザラシのこと詳しいから」
「そう、動物のことをなにか勉強しているのね」
Sayoはそれには答えず、それよりももっと暮らしから実践的に動物の生態を知ったようなものだと、そんなことを口にしそうになった。それで、そうそうに、また明日も魚をもらいにくると言ってウォーフを後にした。
網にかかるアザラシやアシカなどこの海峡では数え切れないほどいると、フィッシュ・マーケットの娘は、それが、漁師達の側に立った言葉をSayoに投げるのに、Sayoはそれには聞こえない振りをしていた。
そんなことは、
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