「波の声をきいて」(7)/月乃助
 
で、なんていう名前なの?」
 Hiromiはいまだにブラジャー姿のままの母親に、新しいペットの名前を聞くように彼女の顔を見つめた。
 Sayoは娘の質問に説明が面倒で、ただ首をふると、バスルームから出て電話帳を探し始めた。Hiromiは、腹ばいになったアザラシのすぐ横にうずくまり、その背を優しくなで始めていた。バス・タブの横にくしゃくしゃになった白いブラウスは、洗濯してももう使えそうにない。
 Sayoは三軒、獣医の名前を適当に選んで電話をしてみたが、どこも、アンサリングにメッセージを残すようにいうだけで、週末の治療はしていなかった。ペットを飼っているオーナーは、イマージェンシーの時はどうす
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