「波の声をきいて」(7)/月乃助
うするのか、動物専用の緊急病院がこの町にあるのだろうかとSayoはペットを飼ったこともなく、ただ、途方に暮れる思いだった。
海峡には人の暮らしのごく近くにたくさんの生き物達がいて、それは、Sayoの生活圏の縁取りをするような存在だった。
アザラシもそのひとつだし、シャチの群れもいたし、時にグレー・ウェールのような鯨も大洋から海峡に入って来た。ヨット・ハーバーの近くの森に行けば、リスや鹿が始終出てきたし、海鳥だけだなくハミングバードから白頭鷲まで小さな鳥から大きな鳥まで、雑多な鳥達も目にできた。
男がいなくなったら娘が生まれ、寂しさを癒すために老人達が子犬のようなペットを飼うようなことを
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