「波の声をきいて」(7)/月乃助
 
ているこのアパートには、どんな動物のもちこみも許されなかったはず、そんなことを思い出していた。
 Hiromiは母親が蛇かイグアナかダチョウか、そんなものを部屋に連れてきてもきっと何も言わずにいるのかもしれない。そんなことを平気でするそんな種類の母親だと、娘はSayoのことを評価か、判断しているらしかった。
「どうしよう、獣医のところに連れていかないと、だめかな」
 Sayoは、そのアザラシがどうしてこのアパートに来ることになったのかを説明するよりも、最初にそんなことをHiromiに言っていた。
「そうね、ずいぶん弱ってるみたい」
「とにかくイエロー・ページで探してみるか」
「それで、
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