「波の声をきいて」(7)/月乃助
。小さな頃には、アザラシ達と一緒に遊び、その群れの中で平気で昼寝をしていた娘の姿を思い出していた。いつもアザラシのヒレの爪に引っ掛かれ、傷だらけになっていたのに、泣くこともなかった。
「バス・タブには、水を入れておいた方が良いかな、ほら、いつも海の中にいるじゃない」
「魚じゃないから、大丈夫だと思う。もし、そうして欲しかったらそう言うかも。それに、寝るときはいつも岩の上でしょ」
「そうね。何か食べる?」
娘は、それがアザラシのことなのか、それとも、夕食のことか少し考え、
「あたしお腹がすいた」そう言って、まだ、裸のような格好の母親にその時になってやっと気付いたように、Sayoのまだ張り
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