「波の声をきいて」(7)/月乃助
張りを失わない胸のふくらみの大きさを測るような目をその胸に落としていた。
Sayoはアザラシの方と思いながら、買いそびれたハリバットの代わりに、今晩はどうしようか、ほとんど空っぽの冷蔵庫を思い出し、小さくため息をついていた。腰も、肩もまだ痛いし、足はくたくただった。
面倒だから、デリバリーでも頼もうか。
そして、食べ残しを犬か何かにやるように、アザラシに与える光景を思い浮かべ、アザラシも人の食べる物を食べるのだろうかと気付き、そんなことを考えている自分がおかしくなり、口元だけで笑っていた。
それに気づいた娘のHiromiは、ただ、なにこんな時にと怪訝な顔を母親に向けた。
(つづく)
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