「波の声をきいて」(7)/月乃助
 
とをする必要もなかった。
「マム、多分、大丈夫だよ。あちこち痛がっていて、前ヒレの左側の方が動かすととても痛いって、でも、骨折している訳じゃないみたい。もし折れてたら、動かすことだってできないでしょ。とにかく、今は休ませるのが一番だと思う」
 Hiromiはそんなことをバス・ルームから出てくるとSayoに言った。
 それは、まるでアザラシの気持ちか、言葉が分かるような自信のある物言いなのに、Sayoは娘の顔をしばらく何も言わずに見ていた。海の声を聞く女の娘。そんなことらしい。
 とにかく、それには子供ながらも真実の響きがあったので、Sayoはほっとして娘の言うことを信じてみることにした。小
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