カミサマ/捨て彦
 
二百円くらいで青空の下カラオケを歌うことができる。道を歩いていくと、そっちの隅で寝てるおっさんや、女物の着物きておしろい塗って、センスを悠然と持って踊ってるおっさんとか、道の脇で立ちションするおっさんとか。僕が興味津々で見てたら、こっち見てニコって笑ってくれた。それを毎日毎日やってる。しかも美術館の周りで。そこは木に囲まれてて、そのもっと外周は普通に道路で、車が普段からびゅんびゅん走ってる。そんなどんぶりのごった返しみたいな状況をリアルに見たのは初めてだ。それこそもう、その場所にはカミサマはそこら中にとんでいた。それは珍しい、ちょい十年くらい前の話なんだけど。今はもう、とうの昔に強制撤去されてなく
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