「波の声をきいて」(5)/月乃助
 
手におれ達の網にかかってきたんだから、こいつのせいだろ。おれらにどうしろって言うんだい、お嬢さん。こんなもの害獣なんだよ、網は破るし、魚をくすねるし」、もう二人はそれが若い女一人なのを知りにたにたと笑っている。そしてまた、エプロンが今度はわざとSayoの反応を楽しむようにアザラシの腹を足の先でけった。
 足元のアザラシは、ぐったりとして動かない。
 前ひれがくたっと骨ばった扇を半分広げたように見える。
「獣医の所にでも連れて行くかい、あんたがそうするなら、勝手にしたらいいさ。でも、こいつは、重いぜ。60パウンドはありそうだけどね…」
「そう、じゃ、あたしがもらっても良いのね」
 Sayo
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