「波の声をきいて」(4)/月乃助
ウォーフには他にも豪華なヨットやクルーザーが何十隻と停泊し、なかには他の町の名前を船尾に付けた、この町へ遊びにやって来ているのが分かるものもあった。その船達の先、コの字型に突き出た浮き埠頭があり、その一番海に面した辺りには、サーモンを釣るトローラーやセーナー、蟹漁や小エビ用の漁船がやはり何艘も仕事を終えて泊まっていた。
「ねえ、そのハリバット、今日の?本当にそうだったら、一パウンドもらおうかな」
白いエプロンを赤く染め、ヒラメを下ろしていた青いバンダナの娘は手を休め、ショー・ケースの方へ来てSayoの注文にうなづいた。
ショーケースの中の切り身になった魚は、雑多なうえに、一緒に並べら
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