「波の声をきいて」(4)/月乃助
 
のように食べ物を店やスーパーマーケットで買わせる。それが、Sayoは今では気に入ってもいた。
 住んでいるアパートの三階にある部屋は、木を植え、野菜を耕す土などありもせず、海の眺めさえもなかった。
 渡された手すりの付いた木の板を下ると、浮いた埠頭に降り立つ。
 そこでは、体が宙を浮く不安定さがずっと付きまとう。
 ウォーフの桟橋にあるフィッシュ・アンド・チップスの店の周りには、日没前の強さを増した夕陽の中で人が食事をしていた。水上のその店は夏の間だけ開き、オイスター・バーガーのおいしい店だった。
 その店の反対側には、ボート・ハウスが数隻係留され、四角い姿をヨット・ハーバーに見せていた
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