「波の声をきいて」(1)/月乃助
 
やっているのだから、それなりに来る客は評価をしているのだろう。
 通りに面した南窓の外には夏の陽光があった。
 過ぎていく車に反射しそれが店の暗がりに一瞬光の流れる影を作る。
 Sayoは、アレンの作り直したブラディー・メリーをトレーに置くと、窓の席でキサディラを皿の半分ほどを食べてしまった、四人家族のテーブルに向かっていった。背に束ねた長い黒髪は、アジアの女のそれでユニフォームに指定されている白いブラウスに映えている。黒いタイト・スカートにサーバー用エプロン、その下の腰のラインは、きれいな丸みを見せて、熟したような女の柔らかさがあった。
 窓辺の席ではSayoの娘ほどの子が、確かに顔を赤
[次のページ]
戻る   Point(1)