Babelogue/ホロウ・シカエルボク
にしたまま、ターンテーブルの上で回り続けてるレコードをただ眺めている状況なんて、どう考えたって精神衛生上よろしくないもの。回るだけのレコードからは音は聞こえない。だけど何度も針を落としてしまった。ちょっと普通じゃないと思われるかもしれないけど、そのあまり遠くない記憶はまるで最愛の誰かに別れを告げられたみたいな痛みを伴って心臓を烈しく締め付けてくる。だから気前のいいアンティーク・ショップに引き取ってもらった。いい値だったけれど、いくらだったか覚えていない。素敵な名前だったけれど、文字のひとつすらまるで思いだせない。ともかくそういうわけで休日の晴天に部屋で音のないテレビを眺める。近頃はどの番組も馬鹿み
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