「あざらしの島」(3/3)/月乃助
ひどく悲しかった。誰とも話をしなかったし、したくなかった。
ヨット・ハーバーに住んでいる住人達は心配し、女に医者に会うように勧めた。
女は、言われたとおりに精密検査というのを受け医者にあい、「何もかも忘れて、死んでしまいたい」と言った。すると老いぼれの医者は、女の聞いたこともない何かひどく複雑な長い病名を女に告げた。そして、妊娠していることを教えてくれた。仕事をする気もなかったが、病名のおかげで生活保護をもらった。それと、男の残していったヨットを売った。それが思ったより高額で売れたとき、女はいなくなった男のことを少し感謝した。
女は、もし、男が自分の子供がいることを知ったらどうするのか
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