「あざらしの島」(1/3)/月乃助
 
き瓶にためていが、それを何かに使うのを女は見たことがなかった。
 とれた真珠をネックレスにでもしたら良さそうなのに、女はアクセサリーというものをしなかった。そして、そんなものが必要でないと思うとき、自分が人でありながらすこしアザラシやアシカのような海獣に近いのかと鏡を見つめることがあった。
 子供と暮らしていながら、何度もそれを忘れて、港に夕方子供を迎えに行かずにいて平気でいたりする。そんな時、ヨット・ハーバーのボートやヨットに暮らす誰かが島まで女の子供を送ってくれるのが常だった。
 夏はこの港に暮らし秋になるとボートで南のもっと暖かな町に移る、そんな渡り鳥のような暮らしをしている老いたカッ
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