「あざらしの島」(1/3)/月乃助
カップルはたくさんいたし、それに、女の住む港町は、暇を持て余した避暑に来る金持ちがごろごろしていたから、少しのことででも、女と娘の面倒をみてくれるようだった。小学校に通う娘は、待ちぼうけに慣れっ子で、今では、母親がいつまで迎えに来なくても泣かないようになっていた。
女は、そんな子供の姿をみると、たくましくなっていると思い、きっと、女が消えてしまっても一人で生きていけるだろうと、へんな安心の仕方に胸をなでおろしたりした。
(つづく)
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