無題/影山影司
かに、一般的な市民を対象とした聞き取り調査も行っていた。我が国の市民はその殆どが無神論者であり、そもそも神の存在について考えたことも無いような人間が大半を占める。
聞き取った中には、面白いことを言う人間が居た。「神様がいたら、こんな悲惨な世界を救わない訳が無い。もし神様がこの世にいるとしても、そいつはきっと我々の宇宙のことなんて、とっくの昔に忘れてしまっているんだろうね」
聞き取った内容を書類にまとめ、必要があれば掘り下げた調査をし、普段行っている研究と照らし合わせて思考を深める。折り悪く、丁度くだらない付き合いも重なり、帰宅する時間はどんどん遅くなり、酷いときには一週間も家に帰れない
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