ジェンガング/影山影司
ガにはプレイヤーの哲学が現れる。
胸にあるジェンガのブロックを引き抜き積み上げるのは自分一人だ。ろくすっぽ抜かずに年老いる人もいれば、まだ若者だと言うのに土台がスカボロになってしまう人もいる。ルール上、中身がみっちりと詰まったタワーは存在しない。ジェンガの不完全性は人の生き様だと思う。不完全でも美しい人、醜い人、様々だ。そして、その美醜はは廃工場の美しさに通じる。
禿げた塗装。積もる埃。穴の開いた階層。斜に構える塔。
銃弾に全身を穴だらけに打ち抜かれた自分が夢想したものは同じようにブロックを引き抜かれたジェンガであった。口中に膨らむ鉄錆の風味。頬をつけた地面の砂利、砂埃。咳き込む度
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